鎌倉手帳(寺社散策)

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除 魔 神 事
〜鎌倉:鶴岡八幡宮〜

編集:yoritomo-japan.com








鶴岡八幡宮・除魔神事


 「除魔神事」は、源頼朝が幕府において「御的始」「御弓始」と称して行った武家の事始めを起源としています。

 弓矢には古来より魔を退ける力があるとされています。

 舞殿で神職による祭儀が行われた後、小笠原弓馬術礼法・鎌倉古式弓道保存会の方々のご奉仕により神事が執り行われます。

 参考までに、鶴岡八幡宮「破魔矢」も、このような信仰と伝統に基づくものです。 



〜蟇目の儀〜

 上の写真は「蟇目の儀」(ひきめのぎ)の様子。

 矢の先の鏑が蟇蛙に似ていることから蟇目と呼ばれるのだとか。

 矢が放たれると「ヒュー」と云う音が発せられ、その音が魔性を退散させるのだといいます。



リンクボタン蟇目の儀(ユーチューブ)


1月5日 午前10:00から









〜御弓始の最初の記録〜

鶴岡八幡宮・除魔神事


 『吾妻鏡』の記録では、1180年(治承4年)12月20日、源頼朝の新造御所(大倉御所)での「椀飯」(おうばん)の折、酒宴の余興に「御弓始の儀」が催されました。

 これが「御弓始」の最初の記録となります。

 ※「椀飯」とは、御家人が頼朝を饗応する行事のこと。 


一番 下河辺行平 対  愛甲季隆

二番 橘公忠  対  橘公成

三番 和田義盛 対 工藤行光 





源頼朝の元旦初詣

源頼朝の正月三が日


リンクボタン頼朝は弓矢の達人だった・・・

リンクボタン義時は弓馬の達人だった・・・





鶴岡八幡宮・除魔神事


 的は直径五尺二寸(1.5メートル)で、裏には「鬼」という字が書かれていますが、「鬼」の字は角が除かれています。

 的は、この「鬼」という字が逆さになるように設置されるようです。

 「鬼」という字を封じ込めた大的を射ることから「大的式」とも呼ばれています。 


鶴岡八幡宮・除魔神事



鶴岡八幡宮・除魔神事


 蟇目の儀が終わると、烏帽子、直垂姿の射手6人が2人ずつ矢を射ます。


鶴岡八幡宮・除魔神事



リンクボタン除魔神事(ユーチューブ)


角を折られ逆さに吊るされた鬼を射る!〜鶴岡八幡宮:除魔神事〜2020/01/05





〜葵祭でも行われる大的式〜

 京都三大祭の葵祭では、5月5日に下鴨神社で葵祭の安全を祈願する歩射神事が行われる。

 歩射神事では、「蟇目式」(ひきめしき)・「屋越式」(やごししき)・「大的式」(おおまとしき)」・「百々手式」(ももてしき)が行われる。

 この四式を「鳴弦蟇目神事」(めいげんひきめしんじ)と呼ぶらしい。









〜下河辺行平の逸話〜

 『吾妻鏡』によると・・・

 下河辺行平は、源頼朝からは「日本無双の弓取」と称賛された武将。

 1189年(文治5年)正月3日、正月椀飯の宴会中に弓始め式を行うこととした頼朝

 射手に指名された行平は、弓場に進み出て蹲踞(そんきょ)して片肌を脱ぎました。

 頼朝が行平と競う者を募ると、修理進季長(しゅりのじょうすえなが)が進み出て行平の後ろに蹲踞しましたが・・・

 行平は先に進もうとしません。

 行平の不満そうな様子を見て取った頼朝は、榛谷重朝を指名します。

 席を立った重朝が行平と季長の間に蹲踞すると、行平は前へ進み出て弓を射はじめました。

 季長は・・・

 恥ずかしくて元の席に戻らず逃げてしまったのだとか・・・。

 それから6日後の正月9日、頼朝の嫡男・頼家の小御所でも弓始めがありました。


 一番 下河辺行平 対 曽我祐信

 二番 結城朝光 対 和田宗実

 三番 藤沢清親 対 橘公成

 四番 三浦義連 対 海野幸氏

 五番 榛谷重朝 対 和田義盛


 御所での弓始めの儀式は、この前年の正月6日や1180年(治承4年)12月12日にも記録されていますが、幕府の行事として始められたのは、1189年(文治5年)からなのかもしれません。





〜越前国稲津保を賜った小国頼継〜

 『吾妻鏡』によれば、1212年(建暦元年)1月11日に行われた御弓始の射手に選ばれた小国頼継は、弓を持っていませんでした。

 そのため、諸国から進上された荒木の弓を賜って15度射ますが、全て弓弦を切らしてしまいます。

 将軍源実朝は、弦麻のために越前国稲津保を与えたといいます。

 頼継の力が強すぎて、持ちこたえられる弓がなかったという伝説です。





〜参考:弓馬礼法小笠原流〜


流鏑馬騎射
リンクボタン小笠原流流鏑馬

 弓馬術礼法小笠原流は、小笠原長清を祖とする小笠原家に伝えられた武家礼法。

 小笠原流流鏑馬は、上賀茂神社下鴨神社の例大祭(葵祭)・日光東照宮の例大祭・富士山本宮浅間大社の流鏑馬祭・鶴岡八幡宮例大祭などで奉納されている。



鎌倉宮:草鹿
リンクボタン草鹿

 草鹿(くさじし)は、富士裾野の巻狩りで行われたのが起源。

 巻刈りで度々鹿を射損じる家人。

 そこで頼朝は、草を鹿の形に束ねさせ、それを射る稽古をさせたのだとか・・・。

 毎年5月5日に鎌倉宮で奉納されている。



三々九手挟式
リンクボタン三々九手挟式

 三々九手挟式(さんざんくたばさみしき)も正月の「弓始め」のときに行われていた儀式。

 毎年4月15日、源頼朝北条政子が崇敬した伊豆山神社例大祭で奉納されています。









鶴岡八幡宮初詣
リンクボタン鶴岡八幡宮


鎌倉市雪ノ下2−1−31
0467(22)0315

鎌倉駅東口より徒歩10分


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