奈良・京都

運慶 興福寺北円堂



運慶の南都復興と興福寺北円堂~運慶 祈りの空間~


編集:yoritomo-japan.com








 2025年(令和7年)9月9日から11月30日まで東京国立博物館で

 「運慶 祈りの空間 - 興福寺北円堂」

 が開催されています。

 運慶仏七体が勢ぞろい!

 鎌倉復興時の北円堂には、運慶一門の弥勒仏、四天王像、無著・世親像が並んでいた!


運慶 祈りの空間 - 興福寺北円堂


 1180年(治承4年)12月28日、南都(奈良の都)は平重衡に火を放たれ、東大寺興福寺が焼き尽くされました(南都焼討)。


 東大寺の復興は後白河法皇の支援の下で俊乗坊重源が奔走し、興福寺の復興は九条兼実の異母弟・信円が中心となって進められます。

 そして、失われた仏像の復興事業で活躍したのが慶派の仏師。

 慶派は、康慶からはじまる奈良仏師の傍流ですが、東大寺興福寺の復興事業で造仏界の中心に躍り出ます。

 康慶は、1178年(治承2年)に後白河法皇蓮華王院(三十三間堂)の五重塔の造仏を任され、僧綱位の法眼を得た仏師。

 僧綱位とは、仏師が与えられた位階で、下から法橋・法眼・法印。

 当時、奈良仏師で僧綱位を得ていたのは康慶だけだったのだといいます。

 その康慶の子が・・・

 南都の復興事業の中で仏像界に新風を吹き込んだ運慶



運慶願経

 「運慶願経」は、奈良仏師・運慶が書写した法華経八巻(国宝)。





興福寺南円堂
リンクボタン興福寺南円堂

 興福寺は藤原氏の氏寺。

 南円堂の本尊・不空羂索観音菩像は藤原氏の守護本尊として信仰されました。

 南都焼討後の復興造仏を任されたのが運慶の父康慶。

 1189年(文治5年)、康慶は一門を率いて不空羂索観音菩薩像・法相六祖坐像・四天王立像を造立しています。



東大寺大仏殿
リンクボタン東大寺大仏殿

 東大寺の復興は、まず大仏の鋳造から始められ、1185年(元暦2年)に大仏の開眼供養が行われました。

 その後、大仏殿の再建が始まり、1195年(建久6年)に落慶。

 翌1196年(建久7年)には、康慶をはじめとする慶派一門による二菩薩像と四天王像が造立されています。

 『吾妻鏡』によると、造像の負担をしたのは源頼朝の命を受けた鎌倉御家人たちでした。

 運慶は虚空蔵菩薩と増長天の大仏師を務め、その功績により法眼の地位を得ています。

 残念ながら、慶派一門による二菩薩と四天王は、1567年(永禄10年)の松永久秀の兵火で失われています。



南都焼討と東大寺の再興 ~重源と源頼朝~

東大寺大仏殿落慶供養





東大寺南大門 金剛力士像
リンクボタン東大寺南大門 金剛力士像

 東大寺南大門の金剛力士像は、1203年(建仁3年)に運慶が一門を率いて造立した東大寺再興の象徴。

 運慶は金剛力士像の造立の功績により、僧綱位の最高位である法印となっています。

 参考までに・・・

 運慶は、1197年(建久8年)、平安京(京都)の王城鎮護の官寺だった東寺の仏像修復を手掛けています。

 東寺源平の戦いの影響で衰退の一途を辿っていました。

 運慶の諸仏修復は、源頼朝から東寺復興の命を受けた文覚の依頼によるものでした。

 かつて、東寺南大門にあった金剛力士像は運慶が造立したものだったのだといいます。





興福寺北円堂
リンクボタン興福寺北円堂

 北円堂は、興福寺の開基藤原不比等の一周忌に創建されました。

 南都焼討後の復興造仏を任されたのが運慶

 本尊の弥勒如来坐像、肖像彫刻として日本彫刻史上屈指の名作といわれる無著・世親菩薩立像は、1212年(建暦2年)に運慶が一門を率いて造立したもの。

 もとは北円堂に安置されていたという中金堂の四天王立像も運慶作ではないかと考えられています。





「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」
東京国立博物館

 「運慶 祈りの空間 ー 興福寺北円堂」では、北円堂の弥勒如来坐像、無著・世親立像と、かつては北円堂に安置されていたという中金堂の四天王立像を展示され、鎌倉復興期の北円堂が再現されています。


【会期】
 2025年9月9日~11月30日

【開館時間】
 9時30分~17時00分

【観覧料】
 一般 1,700円
 大学生 900円
 高校生 600円

【休館日】
 9月29日(月)、
 10月6日(月)、14日(火)、20日(月)、27日(月)、
 11月4日(火)、10日(月)、17日(月)、25日(火)



運慶展オリジナルカード
運慶展オリジナルカード

 入場者全員に北円堂の戸張をもとにデザインされた「運慶展オリジナルカード」が配布されます。

 裏面のQRコードを読み取ると、興福寺の変遷と祈りを紹介する映像を視聴することができます。

 そして、このカードを興福寺勧進所で提示するとオリジナルクリアファイルがもらえます。



運慶展オリジナルカード


東京メトロオリジナル24時間券





運慶坐像
リンクボタン運慶坐像

 年代は定かではありませんが、運慶は京都の八条高倉に地蔵十輪院を建立しています。

 六波羅蜜寺運慶坐像は運慶の自作とされ、地蔵十輪院にあった地蔵菩薩坐像の脇段に置かれていたものなのだと伝えられています。



運慶


運慶願経









歴史めぐり源頼朝




東京国立博物館
東京国立博物館

JR「上野駅」公園口または「鶯谷駅」南口下車
徒歩10分

東京メトロ銀座線・日比谷線「上野駅」、
千代田線「根津駅」下車
徒歩15分

京成電鉄京成「上野駅」下車
徒歩15分



興福寺
リンクボタン興福寺

 興福寺は、平城京遷都の710年(和銅3年)に創建された藤原氏の氏寺。
 平安時代には南都七大寺に数えられ、古代・中世を通じて大和国を支配した。


奈良市登大路町48番地

JR奈良駅から市内循環バス「県庁前」下車すぐ。
近鉄奈良駅から徒歩5分。

世界 興福寺は世界文化遺産
(古都奈良の文化財)



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運慶 興福寺北円堂


鎌倉殿の13人 後白河法皇
後鳥羽上皇 二代執権北条義時