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| 宇治十帖（うじじゅうじょう）は、紫式部の『源氏物語』五四帖のうちの最後の十帖。 主人公の光源氏が亡くなった後の物語。 美しいと評判の薫と匂宮、そして、美しい姫君の大君・中の君・浮舟の悲しい恋物語。 |
～ 薫 ～
| 薫（かおる）は、光源氏の次男で、母は女三の宮。 生まれつき良い香りをまとい、人々を魅了していたのだとか。 しかし、実際は柏木と女三の宮の子の子らしい。 光源氏亡き後は、冷泉院と秋好中宮に可愛がられて育つ。 |
紫式部の泉（大津市）
| 女三宮と柏木との不義の子・薫の誕生五十日の祝で、我が子ならぬ我が子を抱く光源氏。 紫式部の泉は、『源氏物語絵巻』の３場面をモチーフにつくられた噴水。 |
| 柏木の遺品・横笛～夕霧と光源氏と薫～源氏物語 |
～ 匂宮 ～
| 匂宮（ににおうのみや）は今上帝の第三皇子で、母は光源氏の娘・明石の中宮。 幼い頃は紫の上に育てられ、紫の上の二条院を邸宅としていた。 生まれつき良い香りをまとっていた薫に対抗して、香を衣に焚き染めていたらしい。 |
| 橋姫（はしひめ） |
| 橋姫の心を汲みて高瀬さす棹のしづくに袖ぞ濡れぬる ～薫～ |
| 光源氏の異母弟・八の宮は娘の大君（おおいのきみ）と中の君とともに宇治で隠居生活を送っていた。 八の宮の山荘に通うようになった薫は、大君に恋をする。 同じ頃、八の宮家の女房・弁の尼から出生の秘密も明かされる。 |
宇治上神社| 八の宮の邸は宇治上神社付近にあったのだとか。 |
橋姫神社（橋姫の古蹟）
| 橋姫神社は宇治橋の守り神。 宇治十帖ゆかりの「橋姫の古蹟」。 |
| 椎本（しいがもと） |
| 立ち寄らむ陰とたのみし椎が本むなしき床になりにけるかな ～薫～ |
| 八の宮が重い病となり死去。 薫は匂宮が中の君を慕っていることを語り、自分の恋心を大君に話すが・・・ |
彼方神社| 彼方神社は、宇治十帖ゆかりの「椎本の古蹟」。 |
平等院| 「椎本」では、匂宮が長谷寺参詣の帰りに夕霧の別荘に立ち寄るが、その別荘は平等院（宇治殿）がモデルなのだとか。 |
| 総角（あげまき） |
| あげまきに長き契りをむすびこめおなじところによりもあはなむ ～薫～ |
| 中の君を薫と結婚させようと考えていた大君だったが、大君と結ばれたい薫は匂宮と中の君を結婚させる。 しかし、思い悩んだ大君は病で死去。 中の君は匂宮の二条院へ移ることに。 |
総角の古蹟| 総角の古蹟は、宇治十帖ゆかりの地。 |
| 早蕨（さわらび） |
| この春は誰にか見せむ 亡き人の形見に摘める嶺の早蕨 ～中の君～ |
| 父と姉を失った中の君だが、匂宮の二条院に迎えられ幸せな日々を送る。 |
早蕨の古蹟| 早蕨の古蹟は、宇治十帖ゆかりの地。 |
宇治神社| 「早蕨の古蹟」の碑の横は、宇治神社の本殿。 |
| 宿木（やどりぎ） |
| やどりきと思ひ出でずは木のもとの旅寝もいかにさびしからまし ～薫～ 荒れ果つる朽木のもとをやどりきと思ひおきけるほどのかなしさ ～弁の尼～ |
| 匂宮が夕霧の六の宮との結婚。 心を痛める中の君のところへたびたび顔を見せるようになる薫・・・ 中の君は、薫の心をそらすため大君と生き写しの異母妹・浮舟の存在を明かす。 懐妊していた中の君は男児を出産。 |
| ※ | 匂宮の母・明石の中宮は、中の君との仲に反対だったが、二人の間に男子が誕生すると祝福している。 |
宿木の古蹟| 宿木の古蹟は、宇治十帖ゆかりの地。 |
紫式部の泉（大津市）
| 琵琶を弾く匂宮とそれを聞く中の君。 紫式部の泉は、『源氏物語絵巻』の３場面をモチーフにつくられた噴水。 |
| 東屋（あずまや） |
| さしとむるむぐらやしげき 東屋のあまりほどふる雨そそきかな ～薫～ |
| 浮舟は、母の中将の君とその再婚者のもとで暮らしていた。 やがて二条院の中の君に預けられるが、匂宮が心惹かれるように。 中の君に申し訳がないと思った中将の君は、浮舟を三条の小家に移し、それを聞いた薫は、浮舟を宇治に移すが・・・ 心は亡くなった大君にある薫・・・ |
東屋の古蹟| 東屋の古蹟は、宇治橋東詰からすぐの場所にある「東屋観音」と呼ばれる石仏。 |
紫式部の泉（大津市）
| 物語を読み聞かせる右近と絵に見入る浮舟。 紫式部の泉は、『源氏物語絵巻』の３場面をモチーフにつくられた噴水。 |
| 浮舟（うきふね） |
| 橘の小島の色はかはらじをこのうき舟ぞゆくへ知られぬ ～浮舟～ |
| 浮舟のこと忘れることができない匂宮。 浮舟が宇治にいることを知ると、薫を装って浮舟の部屋に入り、強引に契りを結ぶ。 最初は驚いた浮舟だったが、次第に匂宮の情熱に惹かれていく。 二人の関係はやがて薫の知るところに。 薫と匂宮の間で悩み苦しむ浮舟は、ついに死を決意。 |
匂宮と浮舟の像| 「匂宮と浮舟の像」は、匂宮と浮舟が小舟で宇治川に漕ぎ出す場面をモチーフにしたもの。 |
浮舟の古蹟| 浮舟の古蹟は、宇治十帖ゆかりの地。 三室戸寺の鐘楼脇に建てられている。 |
紫式部公園（越前市）
| 浮舟の巻には、紫式部が娘時代を過ごした越前国武生が登場。 「武生の国府に移ろひたまふとも、忍びては参り来なむを・・・」 宇治から帰京する浮舟の母は、 ｢たとえあなたが、遠い武生の国府のような所へ行ってしまったとしても、こっそりとお伺いしましょう・・・｣ と浮舟を慰めている。 |
| 蜻蛉（かげろう） |
| ありと見て手にはとられず見ればまたゆくへもしらず消えしかげろふ ～薫～ |
| 落胆する薫と匂宮のもとに浮舟の死が伝えられる。 薫は四十九日法要を宇治山の寺で盛大に営むが・・・ |
蜻蛉の古蹟| 蜻蛉の古蹟は、宇治十帖ゆかりの地。 |
三室戸寺| 薫が浮舟の四十九日法要を営んだ山の寺は三室戸寺のことともいわれる。 |
| 手習（てならい） |
| 身を投げし涙の川の早き瀬をしがらみかけて誰かとどめし ～浮舟～ |
| 自殺を図った浮舟だったが、比叡山の横川の僧都に発見されて助けられていた。 しかし、快復した浮舟は出家。 匂宮の母・明石の中宮は、匂宮に内密で浮舟の生存を薫に知らせている。 |
手習の古蹟| 手習の古蹟は、宇治十帖ゆかりの地。 |
恵心堂（比叡山横川）
| 浮舟を救った横川の僧都のモデルは恵心僧都なのだとか。 比叡山の横川にある恵心堂（恵心院）は、藤原兼家が建立。 恵心僧都と呼ばれた源信が修行をし『往生要集』を著したことから、浄土信仰発祥の地といわれる。 |
恵心院（宇治）
| 宇治の恵心院は、恵心僧都源信が再興した寺。 |
浮御堂（大津市：満月寺）
| 紫式部が越前に下る際に渡った琵琶湖に浮かぶ浮御堂は、恵心僧都源信が創建した満月寺の堂。 |
紫式部公園（越前市）
| 手習の巻にも「たけふ」（武生）が登場。 浮舟を救った横川の僧都の母・大尼君は 「たけふ、ちちりちちり、たりたむな」 と口ずさんでいる。 |
| 夢浮橋（ゆめのうきはし） |
| 法の師とたづぬる道をしるべにて思はぬ山に踏み惑ふかな ～薫～ |
| 横川の僧都に会って浮舟が生きていることを知った薫。 浮舟の弟小君に手紙を託すが、浮舟は人違いだといって小君に会おうとはしない。 がっかりとして帰ってきた小君を見た薫は、浮舟が他の男と一緒にいるのではないかと疑ったのだとか・・・・ 浮舟が薫を拒絶して源氏物語は幕切れとなる。 |
夢浮橋の古蹟| 夢浮橋の古蹟は、宇治十帖ゆかりの地。 宇治橋西詰。 |
紫式部像| 宇治橋西詰には紫式部像も置かれている。 |
雲母坂| 雲母坂は都と比叡山を結ぶ古道。 横川の僧都に救われた浮舟は、比叡山の麓の小野の地で暮らしていた。 |
宇治十帖MAP
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紫式部・源氏物語・光る君へ
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