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うつろはで しばし信太の 森を見よ かへりもぞする 葛の裏風 |
「心変わりしないでもう少し信太の森の様子を見なさい・・・ 夫が戻ってくるかもしれないのだから・・・」 赤染衛門が和泉式部に贈った歌。 和泉式部は、冷泉天皇の第三皇子・為尊親王と恋愛関係となったことで夫の橘道貞との関係は破綻。 さらに、為尊親王の薨去後、その弟の敦道親王と恋仲に。 そのことを心配して詠んだもの。 |
秋風は すごく吹けども 葛の葉の うらみがほには 見えじとぞ思ふ |
「秋風はおそろしいほどに吹くけれど、風にひるがえる葛の葉は恨み顔には見えないと思います・・・」 和泉式部の返歌。 「夫には飽きられてしまったかもしれませんが、夫のことは恨んではいません・・・」 と伝えたのだとか。 |
為尊親王と敦道親王の母は藤原兼家の娘・藤原超子。 花山天皇の異母弟、三条天皇の同母弟。 異母兄の花山天皇は、出家後も何人もの女性と通じていたようだが、兄弟そろって乱れていたらしい。 参考までに・・・ 花山天皇(法皇)は、寵愛した藤原忯子の妹に手を出し、藤原伊周と弟の隆家に襲撃されている(長徳の変)。 |
和泉式部の歌~恋の歌と敦道親王を失った時の歌~ |
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