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空寒み 花にまがへて 散る雪に すこし春ある 心地こそすれ |
「空寒み 花にまがへて 散る雪に すこし春ある 心地こそすれ」 藤原公任と清少納言の連歌。 風が吹き、空は黒く、少し雪が舞う2月末、清少納言のもとへ藤原公任から 「すこし春ある心地こそすれ」(下の句) が贈られてきた。 (少し春めいた感じがする) これに清少納言が付けた上の句が 「空寒み花にまがへて散る雪に」 (寒々とした空の中で花と間違うようにして散る雪に・・・) 公任の「すこし春ある」は『白氏文集』の一節「三時雲冷ややかにして飛雪多く、二月山寒くして少しく春有り」を踏まえてのもの。 清少納言は「今の眼の前の景色にピッタリ」と感じたらしい。 そして、清少納言も「三時雲冷ややかにして飛雪多く」を踏まえ、雪を花に見立てて上の句を作っている。 公任が句が『白氏文集』の一節を踏まえたことを見抜いていた清少納言だが、公任は管弦・漢詩・和歌に秀でた知識人。 緊張しながら上の句を作ったのだとか。 公任がどう思うかと心配だったようだが・・・ 評判は上々だったらしい。 (『枕草子』~二月つごもりごろに~) |
『白氏文集』(はくしもんじゅう)は、中国唐の文学者・白居易の詩文集。 承和年間(834-848)以降に日本に伝来し、平安貴族の間で流行した。 藤原行成が書写して一条天皇に献上し、『源氏物語』や清少納言の『枕草子』などにも影響を与えた。 |
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漢学の学識を高くかわれていた紫式部は、白居易の新楽府(漢詩)を中宮・藤原彰子に講義。 「新楽府」は『白氏文集』の中の諷諭詩。 |
『大鏡』によると・・・ 藤原兼家は、三舟の才(漢詩・和歌・音楽の才)を持つ藤原公任のこと褒めたたえている。 藤原道長は、大堰川で舟遊び(三舟の遊興)を催した際、人々を管弦・漢詩・和歌の三つの舟に分乗させるが、いずれの道にも秀でた公任のことを気にかけている。 |
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